マンドリン関係の書籍 

 

   

ほとんどのマンドリニストが感じておられることと思いますが、マンドリン関係の書籍は本当に数が少なく、これほど日本各地に社会人や学生のマンドリンサークルがあって盛んに演奏活動が行われていますのに、この現象をどう捉えればよいのでしょう。

 

ここで言う書籍とは邦書を対象とし、機関誌、記念誌、オリジナル曲集の類も含みますが、教則本やポピュラー合奏曲集等は除くものとします。

筆者がマンドリン関係の書籍に関しまして全てのことを知っているわけではありませんので、本稿の記述に抜けている点がありましたらどうかご容赦いただきたいと思います。

 

故人の生没年をはじめとしてネット情報には誤りも多く見受けられます。

極力正確な情報に従うよう留意致しましたが、以下の記述に誤りや漏れ、その他お気づきの点がございましたら、ご指摘いただければ誠に有難く存じます。

 

文中敬称は省略させていただきました。

 

[目 次] (青色文字の項目にはリンクが貼られています)

1 マンドリン事始め

2 日本最初のマンドリン出版物

2.1  マンドリン教科書

2.2  マンドリン独習 

3 マンドリンに関する歴史的著作

3.1  マンドリン・ギター及其オーケストラ

3.2  マンドリン・ギター片影 

4 主なマンドリン研究誌・機関誌等の歴史

4.1  マンドリンとギター

4.2  アルモニア

4.3  FRETS 

4.4  JMUジャーナル

4.5  奏でる!マンドリン

5 主な学生マンドリンクラブの部史・記念誌

6 マンドリン関係の譜庫

7 マンドリン曲集

7.1  マンドリン・ギタア曲集

7.2  マンドリン曲集

7.3  マンドリン・オーケストラによる日本の旋律

7.4  中野二郎編マンドリン曲集

7.5  カラーチェマンドリンアルバム

7.6  服部正名作集

7.7  ときめきのマンドリン

8 マンドリンの参考書・書籍

8.1  マンドリン奏法

8.2  すぐに役に立つマンドリン・ギター合奏のコツ

8.3  マンドリン・テキスト

8.4  マンドリン・オーケストラのすべて

8.5  評伝 古賀政男

8.6  比留間賢八の生涯

8.7  鈴木静一 そのマンドリン音楽と生涯

8.8  ~星々の戯れ~ マンドリン物語

8.9  中野二郎とマンドリン

8.10  まるごとマンドリンの本

 

***

 

1 マンドリン事始め

 

記録によりますと、日本人で初めてマンドリンを一般に公開しましたのは、四竈訥治(しかまとつじ、18541928)で、1894明治27)秋にマンドリン等の音楽会が催されたようです。

 

山田忠男著「随想風音楽論」(昭和56年、音楽之友社)に次のように記されています。

 「最初のハープ演奏記録を私の手許にある文献で見ると、明治二十七年(1894)秋のこと。

         

その夏に日清戦争が始まったので、題して義勇奉公報国音楽会、勿論その頃だから プログラムは吹奏楽や唱歌などだが、その中に仙花楽というのがあり、メンダリン(マンドリンのこと)、バイオリン、ハープで三人の女性が八千代獅子(長唄の抜粋だろう)を奏したとある。

 

これはマンドリンにとっても、わが国で始めての記録。四竈訥治という、取調所出の先覚者で明治十八年に唱歌会という私設音楽学校を開いたり、二十三年からは音楽雑誌を発行して啓蒙を続けた方の企画で、全国の家庭に流行していた月琴や明笛の明清楽が、戦争のために演奏されなくなったのに代って、仙花楽と名づけたものらしい。」

 取調所とは、明治政府が1879(明治12)に開設した音楽取調掛(一時取調所と呼称、のちの東京芸大)のことと思われます。

一般の日本人が音楽会でマンドリンによって初めて耳にした曲は「八千代獅子」だったようです。

 

一説には四竈氏以前に、仙台の宮城女学校(現宮城学院)の外国人宣教師がすでにマンドリンをもたらしていたとも伝えられています。

 

四竈清子

比留間賢八

四竈訥治は江戸時代の生まれで明治を代表する近代邦楽の作詞・作曲家であったようです。

 

 氏の6女、四竈清子(19031965)が大正末期頃ニッポノホン(のちの日本コロムビア)に吹き込んだレコードを国会図書館デジタルコレクション(ここ)で聴くことができます。

 おそらくネットで聴ける最古の日本人のマンドリン演奏ではないでしょうか。

 

四竈訥治同様、江戸生まれの比留間賢八(18671936)は、二度目の洋行となる農商務省の海外実業練習(織物の研究とされ

ます)先のドイツ、ベルリンより1901(明治34)帰国の際にマンドリンを持ち帰っています。

 鈴木ヴァイオリンで知られる鈴木政吉(18591944)は、比留間賢八の持ち帰ったマンドリンを見本に1903(明治36) 初の国産鈴木マンドリンを試作、1906(明治39年)共益商社(現在のヤマハ銀座店)から売り出されました。


 

下の写真:左は明治34年比留間賢八が持ち帰ったマンドリン、中央は明治36年初の国産マンドリン(共に飯島國男著「比留間賢八の生涯」より)、右は共益商社楽器店発行の当時の鈴木マンドリンの宣伝絵葉書です。

 


 

2 日本最初のマンドリン出版物

 

2.1  マンドリン教科書

 

比留間賢八は1903(明治36)共益商社より「マンドリン教科書(独習用)」を出版、これが本邦初のマンドリン出版物となりました。

 

1903(明治36)112日発行

 比留間賢八著

 21

 印刷所:近藤商店

 発行所:共益商社楽器店

 定価:40

 

―目次―

・音名、譜表、短線及び音部記号

・音符、休止符及び附点音符

・変化記号

・音階

・拍子

・マンドリン構造図

 ・調絃法

・楽器奏法の姿勢及び龜甲使用法

・開放絃及び練習

・長短半音階の練習

・左右両手の練習

・顫音(トレモロ)の奏法及び練習

 

比留間氏はこの本の緒元で、「マンドリンは音楽の最も隆盛を極むる以太利国を始とし現今欧米各邦に於てピアノ並にヴァオリン等の楽器と共に公開及び家庭の音楽会用として盛んに行われつゝあるものなり。而(しか)して編者はこの器の演奏法の大に我邦の習慣に近きを認めたるを以て先年欧州在留の頃特に以(もって)国に遊び研究の結果一昨年始めてこの器を我邦に伝えたり。然れとも(されども)伝来の日尚浅くして世人或はこの器の形状をすら知らざるものあるは篇者の頗(すこぶ)る遺憾とする所なり。依て爰に(よってここに)本書を編して其構造及使用法の大要を説き以て我楽界にこの至便なる一新楽器を紹介すと云爾(うんじ)。」と述べています。(文中のカッコ内は筆者記)

 

この著書は、著者没後50年以上を経て著作権の保護期間が満了しているため国会図書館デジタルコレクション(ここ)で全文を読むことができます。

 

2.2  マンドリン独習

 

また比留間賢八は1910(明治43)同じく共益商社より「マンドリン独習」を出版しています。

 

1910(明治43)62日発行

比留間賢八著

54

印刷所:耕進舎

発行所:共益商社楽器店

定価:130

 

―目次―

第一教課:譜表 線上の音名 線間の音名

第二教課:音部記号 小節及び拍子記号 短線即ち加線

第三教課:楽器要部の名称 開放絃 絃の名称 絃の調律法

第四教課:奏者の姿勢 龜甲 手頸 指の使用法 打ち奏法 掬い奏法 

  右手の位置 楽器を持った左手の位置

第五教課:勘所 イ絃即ち第二絃上の各音符

第六教課:ニ絃即ち第三絃上の各音符 ト絃即ち第四絃上の各音符

第七教課:ホ絃即ち第一絃上の各音符

第八教課:調号 拍子の数え方

第九教課:ト長調音階 第一練習 第二練習 第一歌曲(埴生の宿)

第十教課:音程 省略符 第三度音程の練習 第三練習

第十一教課:臨時記号 第二歌曲(記念)

第十二教課:音階の構成 ハ長調音階 ハ長調音階に於ける第四指の伸長 

  第四練習

第十三教課:拍子記号 附点音符及び休止符

第十四教課:第三歌曲(衛兵)

第十五教課:顫動音の予習 第五練習 第六練習

第十六教課:顫動音 第七練習

第十七教課:第四歌曲(河流の小波)

第十八教課:第五歌曲(岸の桜)

第十九教課:第六歌曲(蛍の光)

第廿教課:第八練習 第七歌曲(庭の千草)

第廿一教課:三連音

第廿二教課:三連音の拍子の数え方 第九練習

第廿三教課:第八歌曲(追憶)

第廿四教課:左手指の運用練習 第十練習

第廿五教課:第九歌曲(告別)

 

第十五、十六教課の顫(せん)動音とはトレモロを指しています。

 

氏はこの本の緒元で、「マンドリンは現今欧米各国に於て特種の音楽器として公開乃至家庭音楽会用として盛に流行しつゝあるものなり。而(しか)して編者は本器の弾奏法及び取扱上大に我邦の習慣に適切なるを認め先年欧州在留の頃斯道(しどう)の大家以太利人アチルレ・コルナチ先生に就き研究の結果始めて本器を我国に伝えたり。然れとも(されども)伝来の日尚浅く世人或は本器の形状をすら知らざるものあるは頗(すこぶ)る遺憾とするところなり。依りて爰に(よりてここに)本書を編し其()の形状及び弾奏法の大要を説き以って我楽界に此至便なる一新楽器を紹介せんとす」と述べています。

 

この著書も図書館デジタルコレクション(ここ)で全文を読むことができます。

 

比留間きぬ子

比留間賢八の長女、比留間きぬ子(19152002)1914(大正3)ニッポノホンに本邦初のレコード吹き込み、1927(昭和2)ラジオのJOAK(NHK)でマンドリン独奏を放送、1939年にはテレビ本放送開始前のNHK技研による公開実験にてマンドリン独奏での我が国初のテレビ出演を果たしています。


 

3 マンドリンに関する歴史的著作

 

武井守成

日本における近代西洋音楽教育の祖は伊沢修二(18511917)であり、日本のマンドリン音楽の祖は武井守成(18901949)であると言って異論はないだろうと思います。

 

武井守成は日本マンドリン界の父と称されます。

宮内省楽部長・式部官長であり、1915(大正4)社会人による日本初のマンドリン合奏団「シンフォニア・マンドリニオルケストラ」(のちに「オルケストラ・シンフォニカタケヰ」と改


)を創設した武井守成男爵は、歴史的著作「マンドリン・ギター及其オーケストラ」および「マンドリン・ギター片影」を残しています。

 

この楽団を今に引き継ぐオルケストラ・シンフォニカ・東京は20095月小冊子「オルケストラ シンフォニカ 東京 50年史」(8)を発行しています。

 

3.1  マンドリン・ギター及其オーケストラ

 

1924(大正13)1128日発行

武井守成著

529

印刷所:明文社

発行所:オルケストラ・シンフォニカ・タケヰ

発売元:日本楽器製造株式会社東京支店

定価:450

 

―目次―

・巻頭辞

・ギター及マンドリンの楽器としての史的考察 -武井守成-

・ギター音楽小史 -武井守成-

・マンドリン音楽小史 -武井守成

・ギター研究(習得法) -武井守成-

・マンドリン・オーケストラ研究 -武井守成-

・マンドリンギター両系の楽器を含む小合奏 -武井守成-

・マンドリニストへの十二講 -菅原明朗-

・コンコルソ略解 -武井守成-

・本邦斯界過去現在

・付録、オルケストラ・シンフォニカ・タケイ十年回顧

 

武井氏は巻頭辞の冒頭、「マンドリンギター音楽に関する著書は、之を世界に求むるも殆ど無いと云ってよい。唯僅に英国のフィリップ・ボーン氏が著わした「大家伝」、米国のサミユエル・アデルスタイン氏が著わした「マンドリン記録」、同じく米国のフォレスト・オデル氏が著わした「マンドリンオーケストラ」等が公にされて居るが而(しか)もボーン氏のそれを除いては大なる参考資料と成らないのである。」と述べています。

 

フィリップ・ボーンが著わした「大家伝」とは1914年初版発行のPhilip Bone(18731964)の大著“The Guitar and MandolinBiographies of Celebrated Players and Composersと思われます。

 

この大著はThe Guitar and Mandolinで全文読むことができます。

 

このボーンの著書は邦訳出版の計画がありましたが、原稿は完成するも出版社解散のため残念ながら計画中絶に至った経緯があります。

 

武井氏のこの著書は、マンドリン・ギター及其オーケストラで全文読むことができます。

 

この書の中に武井氏が比留間氏を評した興味深い一節があります。

「比留間氏は其後教則本を著わしたり稀に演奏会にも現われたが元来氏の使命はマンドリン教授にあるので其後目覚ましい発展をされなかった事は何等不思議でない。氏の齎(もたら)された奏法が今日の用として不適当であり又氏の滞欧中の見学研究が彼地斯界の核心に触れなかった恨みありとするも尚氏が本邦斯界の先覚者たる名誉は史上を飾るものである。」

 

比留間氏は武井氏のギターの師であり、さらにまたこの書がまだ比留間氏存命中に出版されたことを考えるとき、率直な感想とは言えよくここまで書いたものという印象も受けます。

 


3.2  マンドリン・ギター片影

 

1925(大正14)111日発行

武井守成著

495

印刷所:明文社

発行所:オルケストラ・シンフォニカ・タケヰ

発売元:日本楽器製造株式会社東京支店

定価:350

 

―目次―

・巻頭辞

・ジュゼッペ・ペッティネ

・サミュエル・アデルスタイン

・ワ゛ァーダー・オルコット・ビックフォード

・ウィリアム・プレース

・ジョージ・シー・クリック

・サルヴァトーレ・ファルボ・ジャングレコ

・ジョワ゛ンニ・ムルトゥーラ

・マイロン・エー・ビックフォード

・ウィリアム・フォーデン

 

・カルロ・ムニエル(武井守成注)

・菅原明朗

・小西誠一

・武井守成

 

マンドリン・ギター片影


巻頭辞に、「此書は斯界(しかい)の緒家の筆に成れる感想印象記、講話、研究談、紀行文等の抜粋である。」と記されています。

 

この著書もここで全文読むことができます。

 

4 主なマンドリン研究誌・機関誌等の歴史

 

4.1  マンドリンとギター

 

武井守成は1916(大正5)研究誌「マンドリンとギター」(1923年まで月刊で80)1924(大正13)には後継誌「マンドリン・ギター研究」(1941年まで月刊で213)を発刊しています。

 

実はあまり知られていませんがその後1942~1943年(昭和17~18年)武井守成によって「マンドリンとギター資料」という毎号数ページの資料が発刊されています。この資料(全12号)はアメリカのサイト(ここ)で読むことができます。戦局厳しい折紙不足から惜しくもわずか2年で廃刊となってしまいました。

 

4.2  アルモニア

 

1927年(昭和2年)仙台の澤口忠左右衛門(1902-1946)が「アルモニア」を創刊、1941年(昭和16年)まで隔月刊で90号を数えましたが戦時下で休刊、その後シュヴァイツァーと共にアフリカで医療奉仕に尽力したことでも知られる高橋功(1907-2003)によって1954年(昭和29年)復刊、1960年(昭和35年)まで隔月刊で36まで発行されました。

 

4.3  FRETS

 

日本マンドリン連盟(JMU)を創設し長く会長であった伊東尚生(19061998)は、主宰する岐阜マンドリンオーケストラの機関誌として1958年(昭和33年)「FRETS」を創刊、季刊発行されました。

 

最終号となった第145(1992年、実際には1997年発行)の編集後記に「本誌は昭和33年より発行し、今日に至っています。年4回の予定の筈ですが、忙しい仕事(例えば旅行記編集)が度々あって、大幅に発行がおくれています。編集は小生独りで、協力者がないからです。今では雑誌とは言えません。現在の皆様に何の役にもたっていない事が大変気になります。現在では発行期間の日本マンドリン関係事項を書き留める、所謂記録誌のつもりで、又励ましの言葉にお答えするためにも、多大の経済的負担にも耐えて、高年令(92)をも顧みず続刊しています。小生無きあと、日本のマンドリン研究家のために役立てば幸いと思っています。(1997)」とあります。

 

35年続いたFRETSでしたが、惜しくもこれが最終号となってしまいました。

 

4.4  JMUジャーナル

 

1968年、田中常彦(18911975)を初代会長とする日本マンドリン連盟JMUが発足、翌年に機関誌が創刊されました。機関誌は20026月発行の177号よりJMUジャーナルと命名、隔月発行で2020年3月現在283号を数えています。最近号の目次はここで見ることができます。なお1994年2月に創立25周年記念誌(52)が、2019年4月に創立50周年記念誌(172頁)が発行されています。

 

4.5  奏でる!マンドリン

 

20076月ダイヤモンド音楽出版より吉田剛士監修によるリコーダー、マンドリン、アコーディオン合同の季刊誌「奏でる!」創刊、200812月からはマンドリンのみの季刊誌「奏でる!マンドリン」として再創刊、第3号からは本誌に連動したCD付きセットも出ています。2022年6月現在56冊、掲載楽譜は総計289曲になっています。

 FRETS(創刊号)           FRETS(最終号)    JMU機関誌(創刊号)    奏でる!(創刊号)

 

5 主な学生マンドリンクラブの部史・記念誌

 

[1]1981年 慶應義塾大学マンドリンクラブ70史「丘の上に

        は鐘がひびくよ」

[2]2002年 明治大学マンドリン倶楽部80年史「青春よ永遠

        に」

[3]2010年 同志社大学マンドリンクラブ百年史

 

このほかにも部史・記念誌を発行しているクラブがいくつかあるようですが、ここでは代表的なものを取り上げました。

 


6 マンドリン関係の譜庫

 

マンドリン関係の資料・楽譜に関して、中野二郎(19022000)による中野譜庫、武井守成(18901949)による武井文庫、澤口忠左右衛門(1902-1946)によるアルモニア文庫を称して三大譜庫と言われます。

 

世界最大のマンドリンギター関係のコレクションといわれる中野譜庫は、以前はネットから楽譜のダウンロードが可能でしたが、今は寄贈先の同志社大学今出川図書館にあるものの、現在閲覧のみ可能でコピーは禁止となっているようです。

 

武井文庫は国立(くにたち)音楽大学図書館に寄贈されたまま公開もされず眠っています。

アルモニア文庫については最近所在が判明し、現在仙台市文学館にあり、アルモニアギター協会が主にギター関係の資料について整理の上Web上に公開されるとのこと、マンドリン関係についてはまだ手がつけられていない状況です。

 

このような資料の公開については図書館等寄贈先機関のポリシーと著作権のクリアという難しい問題が立ちはだかりますが、心血注いで蒐集された膨大かつ大変貴重な資料も後世に活かされてこそ意味があります。現状ではこれらの譜庫がいずれも十分活用できる状態にないことは甚だ遺憾なことであると思います。

 

朗報としてfiorentinoでは中野譜庫のウェブ上での再公開を目指して作業中とのこと、早期公開が待たれます。

 

7 マンドリン曲集

 

昭和初期、春秋社から大著、世界音楽全集が発刊されました。

 

昭和4年から別巻4巻を含む全94巻が(同じシリーズが昭和5年からは別巻5巻を含む全95巻として)、また昭和7年からはこれらの抜粋版として学生版が、昭和11年からは標準版が出版されています。

 

この第26(標準版では第50)に「マンドリン・ギタア曲集」が、別巻に「マンドリン曲集」があります。

この2冊は日本で始めての本格的なマンドリン曲集であると思います。

 

7.1  マンドリン・ギタア曲集

 

世界音楽全集「マンドリン・ギタア曲集」(26)

1931(昭和6)715日発行

大河原義衛編

246

印刷所:光村原色版印刷所

発行所:春秋社

定価:並製180銭、上製2

 

標準版世界音楽全集「マンドリン・ギタア曲集」(50)

1936(昭和11)815日発行

大河原義衛編

246

印刷所:三京社

発行所:春秋社

 

定価:150

 

マンドリン・ギタア曲集

(26)

 

標準版マンドリン・ギタア曲集(50)


上記2冊は全く内容が同じで、マンドリン曲として無伴奏独奏曲26曲、ピアノ伴奏付独奏曲13曲、ギター曲として40曲の計79曲が掲載されています。

巻末に高橋功(19072003)及び大河原義衛(1904-1935)による曲ごとの解説があります。

 

解説の序に「マンドリン独奏曲は無伴奏と伴奏附とに分け、更に後者をピアノ伴奏とギター伴奏に分けることが便利である。本来が旋律楽器であるマンドリンに無伴奏独奏曲と云う特殊な形式が存在するのは、楽器の構造と奏法の特異性に依るのである。此形式を普通ドゥオDuoと呼んでいる。一體ドゥオは二重音形式の意味であるが、更に三重音四重音形式にも運用して広く一個のマンドリンに与えられた重音形式曲を此處では意味するのである。終に、此曲集の選曲方針は先ず代表的作曲家の代表的作品を挙げる傍ら、余り知られていない作曲家でも質的に見るべき点のあるものや楽器を個性的に取扱っているものを注意したことを附記する。」とあります。

 

本誌付録の月報(23)の編集局便りに、「編集員が汗だくで作ったのが此の「マンドリン・ギタア曲集」です。マンドリンだとかギタアだとか軽蔑する方も、此の曲集を見てマンドリン・ギタア音楽が近来著しい発達の蹟を印しているのに驚くでしょう。」と記されています。

 

また1935(昭和10)に春秋社から家庭音楽全集第9巻として「マンドリン・ギタア曲集」が出ています。上記曲集と恐らく同一内容と思われますが確認はできておりません。

7.2  マンドリン曲集

 

世界音楽全集「マンドリン曲集」(別巻)

1936(昭和11)320日発行

門馬直衛編

176

印刷所:三京社

発行所:春秋社

定価:並製180銭、上製2

マンドリン曲集

(別巻)


 

無伴奏独奏曲69曲、ピアノ伴奏付独奏曲14曲、二重奏曲として8曲の計91曲が掲載されています。巻末に門馬直衛(1897-1961)の解説がありますが曲ごとの解説にはなっておりません。

 

解説の冒頭に「此の曲集は非常に急いで編集されたので可成り多くの弱点を持っているでしょうが、大目に見て頂きたい。」と断り書きがあります。

 


7.3  マンドリン・オーケストラによる日本の旋律

 

武井氏逝去10周年を記念して1960年に全音楽譜出版社から出版されました。武井氏のマンドリン関係の全作曲作品、44曲がスコア形式で3巻に収録されています。

 

Op.6 黄昏(マンドラ独奏) (1921)

Op.9 今日の喜び(1925)*

Op.11 軒訪るる秋雨(1925)*

Op.14 踊る小花(1925)*

Op.15 晩春(1925)

Op.18 死せる若人に(1925)

Op.20 朝鮮の印象(幻想曲) (1926)

Op.21 小行進曲(1926)*

Op.22 春のノスタルヂア(1927)*

Op.23 カルッリを偲びて(1927)

Op.26 初秋の唄(1927)*

Op.27 落葉の精(1928)*

Op.29 行く春(マンドリン無伴奏曲) (1928)

Op.30 アルバムの二葉(1929)*

Op.31 夏の組曲(1928)*

Op.34 春祭の夜(1930)

Op.35 豊年(1930)*

Op.38 夕時雨(1934)*

Op.39 流れ(1931)

Op.41 夕雲(1931)

Op.42 即興曲(1932)

Op.43 ゆれる一輪の花(1932)

Op.45 大漁(1939)*

Op.46 春さりゆく(1940)*

Op.47 殉国忠霊の家の前に立ちて(1940)

Op.49 雨とコスモス(1941)*

Op.50 祭礼の町角(1941)*

Op.54 いりあい(1941)*

Op.63 (1942)

Op.64 行進曲 空をゆく(1942)

Op.68 露小径(五重奏曲) (1942)

Op.69 (1942)

Op.70 木の実は踊る(1942)*

Op.72 ミシン(1947)

Op.74 檳榔子(1943)

Op.75 春燈の下(1947)

Op.77 間奏曲(1943)

Op.80 虫の踊り(1943)

Op.81 暮秋(1943)

Op.93 木犀(1947)

Op.95 糸を繰る女(1947)*

Op.108 微風(1947)*

Op.111 組曲 くだものの舞曲(1948)*

Op.113 秋三題(1948)

 

*印の20曲はCD「マンドリン・オーケストラによる日本の旋律 武井守成作品集」(日本コロムビアCOCS-11785)に収められています。

 

ギター関係の作曲作品を含めた最終作品番号はOp.114とされます。

 

マンドリン・オーケストラによる日本の旋律

(1)

 

(2)

 

(3)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

   

 

日本の旋律

武井守成作品集 (CD)


 

この楽譜はOp.49「雨とコスモス」の冒頭、ギターパートの譜面です。4パートに分かれていますが、時間軸で重ねて見ますとAmDmE7のコードを4パートに分割したものですから、楽譜作成ソフトに入力して音を再生しますと1人の人がコードを弾いたのと全く同等に聞こえます。

 

しかし実際にこのようにコードを単音に分けて分散和音の形で複数の人で合奏しますと、各奏者の音の強弱とタイミングの僅かなずれが静かにそぼ降る秋の雨とそこに佇む可憐なコスモスの微かな揺れを描写しているかのようで、作者の非凡な感性に驚嘆致します。まさに「違いがわかる男」にしかできない仕事ではないかと思います。

 

なおこの全集のスコアに関して上記44曲のうち少なくとも12曲について誤植のあることが後年明らかにされていますので、演奏に当たっては正誤表の参照が必要と思われます。

 

武井氏が竹森しげるの変名で1929(昭和4) 「壕の朝風 日比谷の夜風・・・」の歌い出しで始まるジャズソング「丸の内メロディ」を作曲していることはあまり知られていないのではないでしょうか。

 

7.4  中野二郎編マンドリン曲集

 

中野二郎

・ホーム・コンサート・マンドリン・アル

   バム 1938年

・イタリア・マンドリン百曲選(15

   1969年

・マンドリン古典合奏曲集(36) 1972

 年

・マンドリン古典合奏曲集別冊(15)

 1972年

・マンドリン合奏曲集(10) 1992年

 ・スペインマンドリン曲集(6) 1996年

・マンドリンロマンの薫り1(16)  

 1997年

・マンドリンロマンの薫り2(13)

 1997年

・無伴奏マンドリン独奏曲集 1998年

・マンドリン合奏曲集(3) 1999

 ・マンドリン四重奏曲集

・中野二郎先生遺作マンドリン合奏曲集

    (24)

イタリア・マンドリン百曲選

(1)


 

曲目等はCircolo Mandoloinistico Fiorentinoに詳しく紹介されています。

 

これだけまとまってマンドリンの古典合奏曲が次々と世に出たのは初めてのことであり、これらの曲集によりイタリアオリジナル等のレパートリーを増やした合奏団も多かったと思われ、氏の斯界への貢献には実に多大なものがあったと考えます。

 

氏は元々昭和50年頃「マンドリン辞典」を出版するために、マンドリン研究誌FRETSにて予約注文まで受け付けていましたが、あまりの膨大な資料のため断念、それに代わるものとして上記曲集の出版が計画されました。

 

上記中野二郎作曲の無伴奏マンドリン独奏曲集には次の9曲が収められています。

 

Op.2 セレナータ

Op.3 夜の幻想(夕べの想い)

Op.6 「旅愁」の主題による変奏曲

Op.19 「美しき我が子や何処」による主題と変奏

Op.21 祈り

Op.23 3つの練習曲

Op.32 落ち葉の唄

Op.36 「春が来た」変奏曲

Op.43 第二幻想曲


ドイツレーベルのTHOROFONから、ドイツの女性マンドリニストGertrud Trosterの演奏で上記9曲および

 

Op.26 星夜

(作品番号なし) ふるさと

 

の合計11曲がCD 「JIRO NAKANO JEWELS FOR THE MANDOLIN」 (CTH2408)に収録されています。

 

まことに素晴らしい演奏で、中野二郎は最期亡くなる4時間前までこのCDを聴きながら眠るような大往生を遂げたと伝えられています。

 

JIRO NAKANO JEWELS

FOR THE MANDOLIN (CD)


中野氏作曲のマンドリン独奏曲は上記11曲が全てであり、ギター関係の作曲作品を含めた最終作品番号はOp.72とされます。

 

7.5  カラーチェマンドリンアルバム

 

1974年日比野俊道編による「カラーチェマンドリンアルバム」が発刊され(発行:水星社、発売:音楽之友社)、全9巻にRaffaele Calace(18631934)Op.1187までの全作品が網羅されています。

 

なおネットに掲載されていますカラーチェの楽譜との差異につきましてはこのホームページの楽譜の載ったサイト 3 カラーチェの楽譜の項をご参照ください。

 

なお、この曲集にも武井全集同様多くの誤植が指摘されています。せっかくの大偉業も誤植多数では台無しであり、出版に際して慎重な対応が望まれます。

 

カラーチェマンドリンアルバム

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1985年に完結したこの曲集の再版を望む声が大きく、特に希望の多い作品52曲を選んで1998年再び「カラーチェ・マンドリン名曲選」(全3巻)として出版されています。

 

マンドリンの父と呼ばれるCarlo Munier(18591911)もカラーチェに劣らず数多の優れた作品を残しており(作品リストは本井氏のマンドリン資料室-マンドリンのための作品集に詳しい)、その作品集についても発刊を期待したいところです。

 

ちなみに父がいれば母もとなりますが、中野二郎はマンドリンの母としてイタリアのマルゲリータ皇后をあげています。

 

7.6  服部正名作集

 

2008100歳の大往生を遂げられた作曲家、服部正のマンドリン合奏曲の自筆スコア集です。

A4版、215ページの立派な本で慶応義塾マンドリンクラブ三田会1995年発行、非売品となっています。

 

収録楽譜は

KMCソング

・斑蝶(まだらちょう)

・迦樓羅面(かるらめん)

・「蝶々」を主題とする変奏曲

・「荒城の月」を主題とする二つのマンドリンの為の変奏曲

・海の少女

・落葉の踊

・鳥の組曲(鳥の目ざめ、鷺の歌、小鳥のロンド)

・海に寄せる三楽章

 

服部正名作集


この本に収録されている曲は上記9曲ですが、巻末リストによりますと氏の作曲作品数は96曲確認されます。

 

7.7  ときめきのマンドリン

 

2008年オクト出版社よりギター伴奏によるオリジナル名曲集「ときめきのマンドリン」全3巻が発刊され、作曲者の没年順に付録の無伴奏ソロ曲も含め3巻で68曲のマンドリンオリジナル曲が収録されています。

 

オリジナル名曲集の発刊としては前記昭和初期の春秋社版曲集以来の快挙だと思います。

 

ときめきのマンドリン

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8 マンドリンの参考書・書籍

 

8.1  マンドリン奏法

 

世界音楽講座第4回配本「マンドリン奏法」

1933年発行

高橋功著

57

発行所:春秋社

非売品

 

―目次―

 序論

 マンドリン音楽を志す人に

マンドリン構造(附・ピツク,ケース)

マンドリン奏法 

 1  教則本と練習書

 2  調律

 3  マンドリンの持ち方

 4  右手と左手

 5  トレモロとスタッカートとピッチカート

 6  表現

   7  ポヂションとストリッシアート(注:ポルタメントのこと)

 8  装飾音

 9  重音奏法とアルペヂオ奏法

   10  ハーモニック

マンドリン・デュオ

 

8.2  すぐに役に立つマンドリン・ギター合奏のコツ

 

19657月発行

川崎貞利著

117

発行所:ヲグラ楽譜出版部

定価:300

 

―目次―

1章 マンドリン合奏の基本

2章 上手な合奏をするための三つの基本原則

3章 プリモの演奏

4章 セカンドの演奏

5章 マンドラの演奏

6章 ギターの演奏

7章 その他の楽器の演奏

8章 付随する他の楽器

9章 バランスと並び方

10章 平均奏法解説

 

 マンドリン奏法

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐに役に立つマンドリン・ギター  合奏のコツ


8.3  マンドリン・テキスト

 

19762月発行

編集:平山英三郎・竹内郁子・杉原里子・高田金八・川崎貞利

監修:伊東尚生・中野二郎・鈴木静一・服部正・比留間きぬ子

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発行所:日本マンドリン連盟事務局

定価:600

 

―目次―

1. 利用上の注意

2. 保持姿勢

3. ピックの持ち方

4. 絃の弾き方の基本

5. 絃の弾き方のいろいろ

6. ピックの型と材質・音色

7. トレモロ奏法

8. スタカート奏法

9. 弾く位置と音色の変化

10. 調絃方法

11. 平常の練習を大切に

12. 下駒の位置の修正

13. ナットのミゾの修正

14. 保存上の注意

15. 製作者からの助言

 

教則本の副読本としてJMUから発行されました。

 

8.4  マンドリン・オーケストラのすべて

 

1977625日発行

服部正著

116

発行所:音楽之友社

定価:1,800

 

―目次―

1章 マンドリン・オーケストラの沿革

2章 マンドリン・オーケストラとその楽器群

3章 マンドリン・オーケストラの編成

4章 マンドリン4部合奏曲の演奏について

・ナタレ (Amadei)

・小さなセレナーデ (Billi)

5章 マンドリン・オーケストラ オリジナル名曲について

・マンドリンの群れ (Bracco)

・海の組曲 (Amadei)

・オアシスにて (Marti)

・ノクターン (Copertini)

・荒城の月幻想曲 (服部正)

 

8.5  評伝 古賀政男

 

「評伝 古賀政男」と題する書物は過去3冊出版されています。

 

古賀政男=演歌=ギターというイメージが強いですが、氏が生まれて初めて手にした楽器は15歳のとき兄から思いがけず贈られたマンドリンでした。

氏はカラーチェのマンドリン音楽芸術をこよなく愛し昭和2年演奏会でカラーチェの有名な前奏曲第1番を独奏しています。

 

この曲は相当な難曲ですから氏のマンドリンの腕前が並外れたものであったこと、またマンドリンオリジナル曲への造詣が極めて深かったことがうかがえます。

 

[1] 評伝 古賀政男 

 

198465日発行

高橋功

183

発行所:全音楽譜出版社

定価:1,600

 

―目次―

第一部 古賀政男と私

第二部 人間・古賀政男

第三部 古賀政男の芸術

 

[2] 評伝 古賀政男 青春よ永遠に

 

2004年7月10日発行

菊池清磨

318頁

発行所:アテネ書房

定価:2,400

 

―目次―

第Ⅰ部 古賀政男の少年体験

第Ⅱ部 駿河台の青春・古賀政男の青春体験

第Ⅲ部 苦悩する古賀政男

第Ⅳ部 流行歌王-古賀政男

第Ⅴ部 戦後の時代と古賀メロディ

 

[3] 評伝 古賀政男 日本マンドリン&ギター史

 

2015年10月10日発行

菊池清磨

395頁

発行所:彩流社

定価:3,500

 

―目次―

Ⅰ 古賀政男とマンドリンオーケストラ・丘を越えて

Ⅱ ギターの詩人-影を慕いて

Ⅲ 古賀ギターの確立とマンドリンオーケストラの変遷

エピローグ 青春よ永遠に

古賀政男拾遺

古賀政男 ディスコグラフィー

古賀政男 年譜

 

ディスコグラフィー(作品目録)および年譜も充実しています。

 

8.6  比留間賢八の生涯

 

19891124日発行

飯島國男著

201

発行所:全音楽譜出版社

定価:1,545

 

―目次―

西洋音楽創成期

生い立ち

音楽取調掛伝習生

鹿鳴館

「卒業演習会」手続書

外遊・幸田延子・帰朝

明治音楽会

ふたたび外遊、マンドリンを紹介

マンドリン最初の製作と合奏

好楽会

門下生の人びと

蘇音器とレコード

関東大震災、松沢村へ

一芸術家の死

きぬ子の日記

納所辨次郎夫人への手紙

補遺

追悼演奏会記録

 

マンドリン・テキスト

マンドリン・オーケストラのすべて

評伝 古賀政男

評伝 古賀政男 青春よ永遠に

評伝 古賀政男

日本マンドリン&ギター史

 

 

 

 

 

 

 

比留間賢八の生涯


「武井守成の生涯」、「中野二郎の生涯」についても出版が切望されるところです。

 

8.7  鈴木静一 そのマンドリン音楽と生涯

 


1994年7月10日発行

189頁

発行所:幡ヶ谷製販

定価:1,800

 

―目次―

第1章 鈴木静一を語る

第2章 思い出の鈴木先生

第3章 鈴木静一マンドリン作品自筆解説文

第4章 鈴木静一自筆文

第5章 マンドリン関係者の鈴木静一評

鈴木静一 そのマンドリン音楽と生涯


 

8.8  ~星々の戯れ~ マンドリン物語

 

200388日発行

有賀敏文著

246

発行所:早稲田出版

定価:1,700

 

―目次―

(1) マンドリンのルーツをさぐる

(2) イタリアとマンドリン

(3) マンドーラについて

(4) マンドリン音楽の歴史

(5) 十九世紀のマンドリン低迷と復活

(6) マンドリンの構造につい

(7) マンドリン・音の秘密

(8) ドイツとツップ音楽

(9) マンドリンは世界だ

(10) 日本のマンドリン

 

~星々の戯れ~ マンドリン物語


本書はマンドリンの歴史に詳しく、マンドリンに携わる人すべてに読まれたい本ではないでしょうか。

 

8.9  中野二郎とマンドリン

 

20211120日発行

工藤哲郎編著

405

発売所:弦楽器のイグチ

定価:5,000

 

―目次―

上巻
 第編 自ら語る 中野二郎
  第1章 明治末期~大正期 (19021923)
  第2章 昭和初期 (19271945)
  第3章 昭和中期 (19451962)
  第4章 昭和後期 (19631984)
  第5章 昭和後期~平成初期 (19852000)
中巻
 第編 データ 中野二郎
  第1章 演奏活動
下巻
  第2章 作・編曲活動
  第3章 研究活動
  第4章 教育活動
 第編 中野二郎の略年譜

中野二郎とマンドリン

  (上巻)


 

冒頭に「本書は中野二郎の伝記ではなく、中野二郎のマンドリン音楽への取り組み方、思い、そして音楽活動の実績を明らかにした記録である」と断り書きがあります。

伝記が著者のフィルタを通しての人物像であるのに対して本書は中野二郎の生の言葉の記録が集められている点直に心に響きます。 

 

8.10  まるごとマンドリンの本

 

2022年7月22日発行

吉田剛士著

261頁

発売所:青弓社

定価:1,600円

 

目次
はじめに
第1章 マンドリンの魅力
第2章 マンドリンの基礎知識
第3章 マンドリンを手に入れよう
第4章 基本の演奏方法
第5章 マンドリンで奏でる音楽の世界
第6章 マンドリンの歴史
第7章 合奏をしよう
第8章 演奏の場を広げよう
第9章 よりよい演奏をするために
第10章 マンドリンのこれから
付録:コード表の読み方
おわりに


 

本書はマンドリン入門者にとって総括的な知識を得ることができる格好の書物ではないかと思います。

 

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新型コロナウイルスの影響で在宅時間が多くなり、気になりながらもなかなか進まなかったホームページの工事がはかどり、このたびマンドリン玉手箱のうち記事の中核となります「マンドリン等の聴けるサイト」、「楽譜の載ったサイト」、「マンドリン関係の書籍」の記事をやっと完成させることができました。

今後さらに内容を充実してゆければと考えています。