マンドリンをモチーフにしたリヤドロ作品 

 

   

 [目 次] (青色文字の項目にはリンクが貼られています)

1 陶磁器とその原料

2 磁器人形のブランド/窯

3 リヤドロについて

4 マンドリンをモチーフとしたリヤドロ作品

 

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1 陶磁器とその原料

 

 海外旅行のおみやげの定番の一つにおもに装飾用としての食器、人形など陶磁器(やきもの、瀬戸物、セラミックス)の置物があります。

陶芸は、土石類を細かく砕いて水で練り粘土状にし、形にして火で焼き固め物を作る技術です。

 

陶磁器に使用される原料は、国内産の粘土質原料と陶石質原料、輸入のカオリンに大別されます。

陶磁器は、窯を使わずうわ薬(釉薬、ゆうやく)もかけない素焼きの土器、粘土質原料を低温で焼いた陶器、陶石質原料とカオリンを細かく粉砕した石の粉から作った粘土を高温で焼いた磁器などに分けられます。

 

磁器は、陶石質原料である石英、長石などの鉱物にカオリンを組み合わせ、これら三つの原料を1,200度から1,400度の高温で焼き結晶化させたものです。石英は地殻に広く分布し、自然の状態で最も純度が高い鉱物の一つです。

そして長石は火成岩に豊富に含まれ、たいてい石英と混ざっています。

カオリンは、石灰化した白い粘土で、変形しにくく、耐火性が高いという特徴があります。

焼き物作りで主役を演ずるカオリンは、磁器の命である白い焼き物を作る上で欠かせない原料となっています。

 

陶磁器の原料となる粘土を総称して一般に陶土と言われますが、陶器の原料を陶土、磁器の原料を磁土として区別することもあります。

原料が土であるか石であるかを指して、陶器を土もの、磁器を石ものと呼ばれたりします。

 

陶器は吸水性があり質感はザラザラとして厚く重く叩いた音が鈍く不透明ですが、磁器は吸水性が無く質感はガラスのように滑らかで硬く薄く軽く金属音がし透光性があります。

博多人形は土器、ウェッジウッドのクイーンズウェアなどの食器は陶器、中国発祥の白磁や青磁は磁器の仲間とされます。

 

最近では工業的に安定した原料供給のために人工的に化学成分を調整した陶土が生産されています。

陶土の成分を調整したり焼き方を変えたりすることで粘土の種類に関係なく陶器にも磁器にも焼くことができますので、原料の違いがそのまま陶器や磁器にならないこともあります。

 

英国で発明されたボーンチャイナ(Bone China)は、原料の陶土に当時入手困難だったカオリンの代わりに牛の骨灰を加えて作った磁器で、チャイナの名はボーンチャイナが発明される以前中国磁器が多用されていたことに因むようです。

 

磁器のことをポーセリン(Porcelain)あるいはチャイナ(China)、磁器人形のことはポーセリンドール、フィギュリン(Figurine)などと言われます。

 

2 磁器人形のブランド/窯

 

磁器人形のブランドや窯は思いのほかたくさんあります。

リヤドロはあとで詳しく見てゆくこととし、ここではそれ以外の主なものをあげてみたいと思います。

 

 アウガルテン(Augarten)  オーストリア

 

1718年磁器工房を創設、1744年女帝マリアテレジアにより皇室直属の磁器窯に命じられたアウガルテンはハプスブルク王朝のウィーン磁器工房として多くの名品を世に送り出しました。

 

 カポディモンテ(Capo di monte)  イタリア

 

フランスのセーブル、ドイツのマイセンと並ぶ高級磁器、王室専用窯でナポリ王チャールズ三世が1743年に創窯。

 

 セーブル(Sevres)  フランス 

 

セーブルで生産される磁器でセーブル焼きと言われ、歴史は1738年のヴァンサンヌに遡る。後にリモージュへ技術が渡りリモージュ焼きは量産磁器として普及した。 

 

■ チューリンゲン(Thuringen)  ドイツ

 

1895年チューリンゲン地方において磁器製レース人形、ドレスデン人形が誕生、やがてそれは海を渡りアイルランドでアイリッシュ・ドレスデンとなった。

アウガルテン

カポディモンテ

セーブル

チューリンゲン


 

■ ドレスデンポルツェラン(Dresden Porcelain)  ドイツ

 

1895年創業、ドレスデンはドイツ東部、チェコ共和国との国境とほど近い所に位置し、古くから高級磁器製造の拠点として知られてきた。

 

■ ローゼンタール・ペイネ(Rosenthal Peynet)  ドイツ

 

米国の陶磁器会社で働いていた創業者が1879年陶都ゼルブに工房を興します。

 

■ フッチェンロイター(Hutchenreuther)  ドイツ

 

1814年バイエルンのホーエンベルクに創立され、現在はウェッジウッドの傘下に入っている。

 

■ フンメル(Hummel)  ドイツ

 

スペインのリヤドロと並び世界的に有名な高級陶磁器人形ブランド、ドイツの尼僧フンメルの描いた可愛い子供をドイツの老舗陶器メーカー、ゲーベル(Goebel)社が陶器人形として1935年に生産を開始した。

ドレスデン 

ポルツェラン

ローゼンタール

・ペイネ

フッチェンロイター

フンメル


 

■ ベルリン王立磁器製作所(Berlin KPM)  ドイツ

 

1763年プロイセン王フリードリッヒ二世により王立磁器として創設された。

 

■ ヘレンド(Herend)  ハンガリー

 

1826年開窯のハンガリーの代表磁器、ヘレンドの磁器は薄く軽く、あくまでも白く透き通った肌合いが特徴。

 

■ マイセン(Meissen)  ドイツ

 

マイセン地方で生産される磁器で、名実ともに西洋白磁の頂点に君臨する名窯、ヨーロッパ最古の磁器工房で、工場創立は1710年。

 

■ リモージュ(Limoges)  フランス

 

リモージュ地方に点在する工場群、1771年に最初の磁器工場創窯、のちにセーブルに吸収される。

 

ベルリン

王立磁器製作所

 ヘレンド

マイセン

リモージュ


 

■ ニュンヘンブルク(Nymphenburg)  ドイツ

 

1747年選帝侯マックス3世により創立され、1761年にミュンヘンのニュンヘンブルク城に移され今に至る。

 

■ ロイヤル・コペンハーゲン(Royal Copenhagen)  デンマーク

 

創窯は1759年頃、1779年には名実共に王室の所有となり窯名もロイヤル・コペンハーゲンと命名されるようになった。

 

ニュンヘンブルク

ロイヤル

・コペンハーゲン


 

3 リヤドロについて

 

美しい磁器人形のブランドで世界的に有名なリヤドロ(Lladro)は、1950年代初めにスペイン西部、バレンシア郊外の農家の三兄弟によって創業され、今は二代目が経営にあたっています。

 

リヤドロは動きの一瞬を捉える表現力に優れ、その作品は繊細で気品に溢れ、見る人の感性に直接訴えるものがあります。

 

創業者リヤドロ家三兄弟

 

創業当時のアトリエ

 

現在の本社・工場(スペイン/バレンシア)

 

リヤドロの製造工程

 工程01 彫刻家によるデッサンと粘土によるモデル作り

 工程02 粘土モデルをパーツに分割

 工程03 マスターモデル(石膏でパーツの型を取る)の作成

 工程04 鋳込み型の作成

 工程05 成型と組み立て

 工程06 組み立てられたものを磨く

 工程07 鋳込み型で作成できないデコレーションを作成する

 工程08 小物を作成する

 工程09 乾燥させる

 工程10 絵付け師により絵付けをする

 工程11 検査を行う

 工程12 釉薬を塗る

 工程13 窯入れ(24時間、約1,350) 

  工程14 最終検査

 

4 マンドリンをモチーフとしたリヤドロ作品
 

リヤドロにはマンドリン(もどきも含む)をモチーフとした作品が廃番品を含め20体以上あります(姉妹ブランドNAOの作品を除く)

以下製作年順にご紹介したいと思います(製作年不詳の4体は最後にまとめました)

 

01 Young Mandolin Player (和題:優しいメロディ)

 

 品番:6278 製作:1955年 サイズ:21×8cm

 

02 Girl with Mandolin

 

 品番:1026 製作:1969年 

製作者:Julio Femandez サイズ:高さ24cm

 

03 Pensive Pierrot (物思いに沈んだピエロ)

 

品番:4560 製作:1969年 サイズ:高さ40cm

 

04 Troubador Jester playing Mandolin (マンドリンを弾く吟遊詩人の道化)

 

品番:4548 製作:1969 

製作者:Fulgencio Garcia サイズ:高さ24cm

 

05 Girl with Mandolin (LAMP)

 

 品番:4633 製作:1970 

製作者:Vicente Martinez サイズ:高さ43cm

 

 06 Harlequin & Ballerina

 

品番:4831 製作:1972年 サイズ:22×28×46cm

 

07 Girl with Guitar (原題:Nina Con Guitarra)

 

(原題はギターとなっていますがマンドリンと思われます)

品番:4871 製作:1974 

製作者:Fulgencio Garcia サイズ:高さ21.7cm

 

08 Boys Playing Mandolin with Friend (原題:Adolescence 思春期)

 

品番:4878 製作:1974

製作者:Alfredo Ruiz 高さ:24.8cm

 

09 Angel with Mandolin

 

(あれれっ、マンドリンを弓で弾いています!?)

品番:1324 製作:1976

製作者:Salvador Furio サイズ:31cm

 

10 Harlequin A (道化師A)

 

 品番:5075 製作:1980

 

11 Angel with Mandolin

 

 品番:5491 製作:1988 

製作者:Fulgencio Garcia サイズ:高さ20cm

 

12 Mandolin Serenade (和題:マンドリンを弾くピエロ)

 

品番:5696 製作:1990 

製作者:Jose Puche サイズ:高さ17.8cm

 

13 Heavenly Sounds (天上の音)

 

品番:2195 製作:1990  サイズ:高さ約18cm

 

14 Angelic Melody (天使のメロディ)

 

Angel Tree Topper (クリスマスツリーのてっぺんに飾る天使の飾り)

品番:5963 製作:1993年  

サイズ:高さ18cm

 

15 Etheral Music (妙なる楽の音)

 

 品番:3570 製作:1994

製作者:Jose Puche サイズ:41×68cm

 

16 Young Jester with Mandolin (マンドリンを持った若い道化)

  

 品番:6237 製作:1995 

製作者:Joan Coderch サイズ:高さ21×幅25cm

 

17 A Soft Refrain

 

品番:3578 製作:1998年  サイズ:28×64cm 

18 Allegro

 

 品番:6629 製作:1999  サイズ:14×12cm

 

19 海のイリュージョン(幻想)

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品番:6929 製作:2005

製作者:Francisco Polope サイズ:32×46cm(台座付)

 

20 Harlequin (道化師) 

 

品番:8219 製作:2006年 サイズ:18×19cm 

 

21 Heavenly Song (天上の歌)

  

品番:2197 製作年不詳

 

22 道化師

 

品番:2197 製作年不詳

 

23 マンドリンのレッスン

 

品番:6408 製作年不詳 サイズ:22×17cm

 

24 Celestial Joy (天上の歓び)

  

Tree Topper (クリスマスツリーのてっぺんに飾る飾りもの)

品番:7088 製作年不詳 サイズ:高さ約21cm