楽譜の載ったサイト
[目 次] (青色文字の項目にはリンクが貼られています)
2.1 IMSLP
2.2 Free-scores.com
6 Vivaldi、Mozart、Beethovenのマンドリン曲
6.1 Vivaldi
6.2 Mozart
6.3 Beethoven
7.1 Mandoisland
7.2 Biblioteca della chitarra e del mandolino
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ネットの情報は流動的です。以下の情報はご覧いただく時点で内容が更新されたり削除されたりしている場合もあるかと思いますのであらかじめご了承ください。
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マンドリン弾きというのは(マンドリン弾きだけでなく楽器弾き誰でもそうだと思いますが)目の前に楽譜があれば弾けようが弾けまいがとにかく弾いてみたくなります。
楽器も楽譜あればこそです。
楽譜なんて楽器店に行けばいくらでも曲集がありそうなものですが、楽器弾きはわがままです。
最近流行っている曲、古今東西の名曲、自分の演奏レベルに合った曲、独奏や重奏、合奏のできる曲、と弾きたい曲の欲望は果てしなく広がります。
そうなると市販の曲集だけではとても間に合いません。
特にマンドリンのようなマイナーな楽器に関して市場での楽譜の流通は十分という状況には遠く及びません。
基本的にマンドリン弾きはいつも楽譜に飢えている状態にあるといっても過言ではないと思います。
マンドリン弾きにとって楽譜探しの苦労はそれほどまでに切実な問題と言えます。
楽譜、楽譜、楽譜・・・と夢にまで出てくる楽譜です。
そこで、楽譜が無いのなら手っ取り早く自分で作っちゃえというのがいわゆる耳コピー(耳コピ)です。
ネットやCDなどから弾いてみたい曲の音源を探してきて旋律を何度も繰り返し耳で聞き取りながら音符を一つ一つ採譜してゆけば、手間と時間はかかりますがとにかく楽譜ができます。
しかしこのやり方では聞き取り間違いの可能性や速いフレーズの部分が聞き取りにくいといった難点がありますし、プロでもない限り和音(コード)まで含めて耳コピすることは至難のワザです。
一方、「Finale」や「スコアメーカー」等に代表される最近の楽譜作成ソフトはMIDI曲から楽譜が簡単に自動生成できるようになっています。
ネットにはMIDI曲が溢れていますから、その中から自分の好きな曲、好きなアレンジのものをこのソフトに取り込めば一瞬にしてスコアが完成してしまいます。
しかもこれらのソフトはスコアからパート譜への自動展開も瞬時にやってのけてしまいます。
楽譜を作るのに何の苦労もいりませんから、実際やってみますとこれはかなりの感動ものです。
ネットから楽譜作成ソフトの無料体験版をダウンロードして試してみることができます。
これらのソフトは好きな楽器を指定してスコアの自動演奏もできますから、マイナスワン的に自分の弾きたいパートだけを消して再生しながら楽譜を弾けば、カラオケのように一人で合奏も楽しめてしまいます。
同じ音楽ファイルでもMIDIに比べてより一般的なmp3ファイルから直接楽譜が作れたら便利なのに、あるいはmp3をMIDIに変換できれば上記ソフトで楽に楽譜が作れるのにと誰でもそう思いますが、MIDIが各パート別のデジタルデータ情報であるのに対してmp3は全パートをひとまとめにしたアナログ波形情報ですから、残念ながら原理的にこれは無理な相談ということになります。
次に、以上のような回りくどいことをせずにネットから直接楽譜を探すことを考えます。
丹念に探せば無料で楽譜を提供しているサイトを見つけ出すことができます。
マンドリンの古典楽譜を中心にマンドリン曲以外の楽譜をも含めて、そのような楽譜の載った代表的なサイトをいくつか挙げてみたいと思います。
ご紹介するサイト以外にも探せばまだまだあるかと思いますが、検索のやり方の複雑なサイト、個人情報の登録を求めたり巧みに有料ページに誘導するようなサイト、単にURLを並べただけのサイトなどは除外しました。
2.1 IMSLP
IMSLP(International Music Score Library Project)はパブリックドメインの楽譜
をPDF形式で無料で利用できるバーチャルなネット図書館で50万点もの楽譜が所蔵されています(件数は2020年3月現在)。
楽譜検索にはまず何はさておき真っ先に利用する価値のあるサイトでしょう。
検索方法は時として変わりますのでこの検索方法がずっと有効とは限りませんが現在のところ検索窓の下の4つのシンボルの最左にポインタを当てますと現れるScores by GenreをクリックするとSearch by Instrumentation/Genreの表が表示されます。
・表中の主要楽器をクリックしScores featuring the mandolinを選択します
あるいは
・表の下のSearch all category namesの検索窓にmandolinと入力します
2.2 Free-scores.com
Free-scores.comは2000年に生まれ無料の13万曲が収録されている楽譜検索サイトとして非常に規模の大きいサイトです。
左サイドSearch by criteriaのInstrumentsからMANDOLINを選択しますと657曲
もの楽譜がアップされています。
このサイトを筆頭にフリースコアのサイトはネット上にたくさん存在します。
カラーチェの全作品Op.188までをネットで閲覧、かつフリーダウンロードできるようになっていることは私たちマンドリン愛好家にとって夢のようなことです。
カラーチェの全作品については、日比野俊道編「カラーチェマンドリンアルバム」全9巻として日本でもかつて出版されていますので内容自体は目新しくありませんが、このアルバムは今は絶版になっていますし、さらに残念なことにこのアルバムには多くの誤植が指摘されていますので、今回ネットからより原版に近い形で信頼性の高い楽譜が入手できることはとても有難いことです。
作品番号を詳細に調べてみますとネットとマンドリンアルバムの間には欠番の作品番号について下記の相違が見られます。
・ネットのみ欠番の作品番号 :99、100、109、129、158、174
・アルバムのみ欠番の作品番号:77、91、139、159、188
・両方ともに欠番の作品番号 :50、69、82、83、117、153、156
なおネットでは作品1~10はまとめて作品15として掲載されています。
こうしてカラーチェの全作品が閲覧できるのですからマンドリンの父と言われるムニエルの作品についても切望したいところです。
モーツァルトの楽曲には有名な Eine Kleine Nachtmusik (K.525)をはじめマンドリンで弾いてみたい曲がたくさんありますので、楽譜が自由に手に入ればこんな嬉しいことはありません。
モーツァルトの全作品のスコアがNMA Onlineに揃っていることは驚きです。
有名作曲家の全ての作品がネット上に公開されている例は非常に珍しいことだと思います。
このサイトでK(またはKV)番号、Keyword、カテゴリー、Key(何調か)などを入力することで該当する楽譜を入手することができます。
スウェーデンの人口3,000人足らずの小都市、ウプサラ郡Gimoにちなんで名付けられたGimo音楽コレクションは、1762年前半に若いスウェーデン人Jean Lefebure(1736-1805)によって蒐集されたイタリアの偉大な音楽コレクションです。
Gimoコレクションには全体で359の作品がありますが、注目されるのはそのうち特に以下の8人の作曲家の19作品がマンドリンを含む室内アンサンブルのために書かれていることです。
Gimo 12 Sonata a Due Mandolini by E. Barbella (1718-1777)
Gimo 13 Sonata a Due Mandolini by E. Barbella
Gimo 14 Sonata a Due Mandolini by E. Barbella
Gimo 15 Sonata a Due Mandolini by E. Barbella
Gimo 18 Sonata a Due Mandolini e Basso by E. Barbella
Gimo 58 Concerto di mandolino a solo con Violini e Basso by
D.Caudioso (17??-?)
Gimo 60 Concerto di Mandolino con Violini, e Basso by C. Cecere
(1706-1761)
Gimo 76 Sinfonia a due mandolini e Basso by G. Cocchi (1712-1796)
Gimo 88 Concerto di mandolino con Violini e Basso obligati by
G. Gabellone (1727-1796)
Gimo 141 Sonata Per Camera di Mandolino e Basso by G. B. Gervasio
(c.1725-c.1785)
Gimo 142 Sonata Per Camera di Mandolino e Basso by G. B. Gervasio
Gimo 144 Sonata Per Camera di Mandolino e Basso by G. B. Gervasio
Gimo 145 Sonata per Mandolino e Basso by G. B. Gervasio
Gimo 147 Duetto à Due Mandolini by G. B. Gervasio
Gimo 149 Sonata per Camera di Mandolino è Basso by G. B. Gervasio
Gimo 150 Trio a Due Mandolini e Basso by G. B. Gervasio
Gimo 153 Sinfoni per Mannolino con Più Istromenti by G. Giuliano
(c.1750)
Gimo 297 Concerto Per Mandolino, Violino Primo, Violino Secondo e
Basso by V. Ugolino (?-?)
Gimo 359 Trio a due mandolini e Basso (Anonymous)
これだけでも素晴らしいマンドリン古典曲集が出来上がります。
A.L.Vivaldi W.A.Mozart L.V.Beethoven
1617-1714 1756-1791 1770-1827
(バロック時代) (古典時代) (古典時代)
イタリア オーストリア ドイツ
6.1 Vivaldi
Vivaldiのマンドリン曲には次の3曲(いずれも協奏曲)があります。
(1) Mandolin Concerto in C major, RV425
この曲は1979年公開のアメリカ映画「クレイマー・クレイマー」に採用された曲でもあります。
(2) Concerto for 2 Mandolins in G major, RV532
(3) Mandolin Concerto in C major, RV558
RVはドイツ語のRyom Verzeichnis(リオム番号)の略で、ドイツの音楽学者ペーター・リオム(Peter Ryom)によって考え出された、アントニオ・ヴィヴァルディの作品に用いられる整理番号です。
6.2 Mozart
Mozartのマンドリン曲には次の3曲があります。
(1) 歌曲「満足」 Die Zufriedenheit, K.349
(2) 歌曲「来たれ、いとしのツィター」 Komm,liebe Zither, K.351
(3) 歌劇「ドン・ジョバンニ」より「ああ、窓辺にいでよ、わたしのいとしい人よ」
Deh,vieni alla finestra from Don Giovanni, K.527
K(またはKV)はKochel Verzeichnis(ケッヘル・フェアツァイヒニス)の略で、オーストリアのモーツァルト研究家ケッヘルによるモーツァルト作品目録の整理番号。作品年代順になっており、K1~626まであります。
6.3 Beethoven
Beethovenのマンドリン曲には次の4曲があります。
(1) Sonatina for Mandolin and Harpsichord in C minor, WoO 43a
この曲はCalaceがOp.67として編曲しています。
(2) Adagio for mandolin and harpsichord in E flat major, WoO 43b
この曲もCalaceがOp.44として編曲しています。
(3) Sonatina for mandolin and harpsichord in C major, WoO 44a
この曲もCalaceがOp.47として編曲しています。
原曲はハ長調ですが編曲版は1音上げてニ長調になっています。
(4) Andante and variations for mandolin and harpsichord in D major, WoO
44b
WoOは、Werke ohne Opuszahl(ヴェルケ・オーネ・オープスツァール) の略で、 1955年ドイツの音楽学者G.キンスキーと文献研究家H.ハルムによって編集されたベートーヴェン作品目録の整理番号。
ohneは~がない、Opuszahlは作品番号の意で、ベートーヴェン自身が付けた作品番号もありますが付けられていない作品も多く、WoOはこれら作品番号のないものに付けられました。
マンドリンを弾く人でしたらマンドリンに関するいろんな情報を得る目的でパソコンのウェブサイトを日常的に閲覧しておられることと思います。
主にマンドリン演奏しているYouTubeなどの動画サイト、学生や社会人のマンドリンクラブや団体、楽器店などのページ、演奏会情報などでしょうか。
世界を見渡せばマンドリニストが個人で開設しているホームページの中に非常に優れた素晴らしいサイトがあり、多くの楽譜が紹介されています。
ここではそのようなサイトを2つばかりご紹介したいと思います。
7.1 Mandoisland
ドイツ南西部Freiburg市在住、Michael ReichenbachさんのMandoislandというサイトです。
ドイツ語だけでなく英語のサイトも作成してくれています。
このサイトには今までサイトを訪れた訪問者数が載っています。
ドイツがトップなのはわかりますが次いでアメリカが多く、日本は何と10位と非常に低位です。
日に日に訪問者数は更新されていますが順位に変わりはありません。
自国語サイトではないというハンディがあるとはいえ、これだけマンドリンが盛んな日本からの閲覧がこんなにも少ないのは正直驚きですしとても残念なことに思います。
このサイトのすごいところは情報が豊富でかつ多岐にわたり、特にFree Sheet Musicのコーナーが非常に充実していることで、個人でこれだけもの情報を収集・整理し世界に発信していることは驚愕に値する仕事で、まことに頭が下がる思いです。
Free Sheet MusicとFree Sheet Music Linksコーナーからの楽譜は全部で150曲ほどになります。
日本では私を含め弾くことには熱心ですが、ここまで研究熱心なマンドリニストや団体が果たしてどれほど存在するでしょうか。
7.2 Biblioteca della chitarra e del mandolino
「Biblioteca della chitarra e del mandolino」(ギターとマンドリンの図書館)は1800~1900年代に作曲されたギターとマンドリンの合奏譜面が大量に掲載され、フリーダウンロードできる素晴らしいサイトです。
イタリアのギタリストVincenzo Pocci氏のサイトで、400人近い作曲家のマンドリンとギター楽譜をよくもこれだけ集めたものと思います。
ギタリストだけあってマンドリンよりギターの楽譜の方が多いですが、それでもマンドリン合奏譜だけを抽出しますと50人以上の作曲家による70曲以上の作品があります。
作曲家の中にはMunier、Sartori、Amadei、Sarcoli、Falbo、Bottacchiariなど著名なマンドリン作曲家のほかDonizetti、Bellini、Verdiなどイタリアを代表するオペラ作曲家の作品(をマンドリン合奏用に編曲)も見られます。
これほどの量の作曲家と作品を集めたサイトは非常に珍しく驚いています。
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以上、マンドリンの楽譜の載ったサイトを見て参りました。
著作権の制約から公開されている楽譜は多くの場合限定されたものになるのはやむを得ません。
特筆すべきサイトとして、650曲以上のマンドリン楽譜を載せたFree-scores.comのサイト、イタリアマンドリン曲の優れた古典を集めたGimo Music Collectionのサイト、モーツァルト全作品の楽譜を掲載したNMA Onlineのサイト、カラーチェ全作品が掲載されたサイトなどが挙げられると思います。
さらに、今回内容があまりにも膨大であるため調査対象から外しましたが世界最大のEuropeanaをはじめとするデジタルアーカイブの存在を無視することはできません。
まだ具体的に個々の資料に立ち入って調べるまでに至ってはいませんが、先人たちの貴重な遺産であるこれら資料を有効に活用すべく今後調査を進めてゆければと考えています。
これらのサイトが少しでも楽譜探しの一助になれば幸いです。