こいきなフランス・ピン 

 

   

「こいきなフランス・ピン」(E Spingole Francese) は、シャンソンの影響を受けて1888年にサルヴァトーレ・ディ・ジャコモの詞にエンリコ・デ・レーヴァ(Enrico de Leva18671955、イタリアが作曲して大ヒットしました。  

元歌がもっと古くにあったようで、フランスのピン飾り売りの男が娘を口説くユーモラスな歌で古い歌ですが今でも盛んに歌われています。 

英語に直した歌詞がありましたので、一番だけ訳してみました。

  

One fine day I left home to go a trading.

A stock of pins from Paris I was selling.

Come in! come in!" call'd out to me a maiden.

Tell me how many pins are for a shilling!"

And as I am a bit inclined to fooling,

No time I lost before I reached her dwelling.

Who wants to buy French pins, the very finest?

Who wants French pins?

Who wants to buy?

Who'll buy?

 

ある日のこと俺は出稼ぎに出たのさ

パリ仕込みの手持ちの飾りピンを売ってたのさ

「入ってちょうだいな」と娘さんに声を掛けられてさ

「1シリングでピン何本になるの、教えて頂だいな」

ちょっとばかしふざけてやろうと思って

すぐさま娘さんちに飛び込んだのさ

誰がとびきり上等のフランスピンなんて買いたいの?

誰がフランスピン欲しいの?

誰が買いたいって言ったのよ?

誰も買わないわよ

  

このピン売りは娘さんに下心を読まれてからかわれています。

エンリコ・デ・レーヴァはナポリ生まれの作曲家で、古いナポリ民謡の歌の精神を受け継いだ多くの曲を書いています。 

 

ところで、19世紀後半にフランスで流行ったヘアピンとはいったいどのようなものだったのでしょうか。今となってよくわかりませんが、下の写真はフランスの1950年代のシニョンピンの一例です。

シニョンとは束ねた髪をこのようなU字形をしたピンを使って頭の脇や後ろでまとめたヘアスタイルのことで、お団子頭のことのようです。 

 

このような実用本位のピンばかりでなく、飾りピンもあったと思いますが何分にも昔のことで古い写真が見つかりません。

 

 

この動画ではマンドリン合奏をバックに歌手が広場で、上の歌詞の内容のようなことを身振り手振りで表現しながら歌っています。

メロディを含めマンドリン合奏だけの演奏用に編曲してみました。

 

パートは1stマンドリン、2ndマンドリン、マンドラ、マンドロンセロ、ギター、ベースの6パートです。ヴァイオリン音源でお聴きください。

 

 この曲は器楽的要素を多く含んでいて、いろんなアレンジの可能性を秘めて、歌っても弾いても楽しめる曲だと思います。