イタリア 2
2013年8月に人生初の海外でのマンドリン演奏を経験してから1年経たずして同じイタリアで2度目の演奏が経験できるとは夢にも思ってもいませんでした。
ここでは2014年5月に行きましたイタリア演奏旅行についてブログ記事を編集して綴ってみたいと思います。
[目 次] (青色文字の項目にはリンクが貼られています)
1 イタリア・シチリア島親善ジョイント・コンサート (2014年0月29日のブログを編集)
2 シチリア演奏旅行へ (2014年5月7日のブログを編集)
3 シチリア演奏旅行 (2014年5月18日~6月6日のブログを編集)
4 海外で演奏するということ (2014年6月18日のブログを編集)か
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昨夏イタリアのシエナとフィレンツェの教会で人生初の海外でのマンドリン合奏を経験してきたばかりですが、今度は宝塚で合奏団を主宰されている先生のお誘いでこの5月にシチリアで演奏する機会をいただきました。
2年続けて海外演奏ができるなどとは夢にも思っていませんでした。
今回はシチリア島タオルミーナのOrchestra a Plettro Citta di Taormina (タオルミーナ市マンドリン合奏団)とのジョイント・コンサートと、終了後の交歓会が予定されています。
Orchestra a Plettro Citta di Taormina
この合奏団はメンバー30名ほど、1900年創立の非常に歴史ある合奏団です。
下の動画ではこの合奏団がタオルミーナ随一の景勝地テアトロ・グレーコ(Teatro greco、ギリシャ劇場)でシチリア民謡Vitti na Crozza (しゃれこうべの歌)を演奏しています(上の集合写真の背景もギリシャ劇場です)。
Vitti na CrozzaやCiuri Ciuriはシチリアで最も良く知られた民謡です。
9年前ツァーで訪れたここギリシャ劇場は遠くにエトナ山を望み、息を呑むそれは素晴らしい光景でした。
タオルミーナでは毎年5月から9月頃にかけてギリシャ劇場などでタオルミーナ・アルテという有名な芸術祭が催され、国際映画祭、オペラ、バレエ、人気ミュージシャンによるコンサート、クラッシックコンサート、ジャズコンサート等が行われます。
今年のタオルミーナ・アルテ2014初日はちょうどジョイント・コンサートの演奏日と重なっているようで、残念ながら見に行くことができません。
これでイタリアは6度目、シチリアは2度目の旅となります。
今回訪れるタオルミーナ、アグリジェント、パレルモは前回ツァーで行っていますが、カターニア、カルタジローネ、ミラベッラ、モンレアーレは初めてで楽しみです。
可能であればサンドメニコパレスホテルで演奏しているマンドリン楽団の演奏をぜひ聴いてみたいものと思っていますが、シチリア音楽界の重鎮、Chico Scimone(チコ・シモーネ、1911.11-2005.04)氏没後この楽団がどうなっているのかよくわかりません。
氏は今回ジョイント・コンサートを行うOrchestra a Plettro Citta di Taorminaの指揮者でもありました。
コンサートでは氏作曲の「Motivi siciliani」という曲を合同で演奏します。
この曲の中にもVitti na CrozzaとCiuri Ciuriが組み込まれています。
氏がどんなに郷土シチリアを愛していたか、その一端を感じます。
在りし日のチコ・シモーネさん(サンドメニコパレスホテル)
氏は大変なアスリートでもあり、ニューヨーク、エンパイアステイトビルの階段(1,576段)駆け登り競技に生涯18回出場、最後18回目は亡くなるわずか2ヶ月前、御年93歳のことだったとは驚きです。
タオルミーナ在住、本郷智子さんの著書「シチリアの風~アーモンドの咲く島より」(北の杜文庫、2006年)を求めました。
旅の友に楽しみに読みたいと思います。
明日5/8から5/15まで8日間イタリア、シチリア島に観光を兼ねたマンドリン演奏旅行に行ってきます。
参加者は関空から16名、成田から6名の総勢24名、ローマで合流します。
コンサートは地元合奏団Orchestra a Plettro Citta di Taorminaと共演で、5/10タオルミーナのウンベルト通り、デゥオモ広場にあるDuomo di Taorminaで午後8時開演です。
Duomo di Taormina
昨夏のシエナ、フィレンツェ演奏旅行と違って今回は島内だけのツァーで、あまり自由時間やオプショナル観光のない、その代わり食事は全部ついているというスケジュールですが、唯一タオルミーナで少々時間がとれますので、
・サンドメニコパレスホテルのレストランでマンドリン演奏をやっていれば聴きに
行く
・タオルミーナの高台の町カステルモーラ、カステッロ、ギリシャ劇場、4月9日
広場の展望台、ベルベデーレなどからの素晴らしい眺望を楽しむ
・フニビエ(ケーブルカー)で海岸に下りイゾラベッラを散策する
などどれか一つ、二つできればいいなと思っています。
15日に無事帰国してもう3日経ちますが毎日正午過ぎまで寝っぱなしで体のリズムが元に戻らず旅行の整理もはかどりません。
というわけで頭もまだヴォーッとしていますが、一つ一つ思い出しながら旅行記を綴ってみたいと思います。
今回の旅行、せっかく行くからにはと少々事前準備をしました。
・共演するOrchestra a Plettro Citta di Taorminaは創立1900(明治33)年の歴史
ある楽団です。
相手団の歴史を調査・翻訳し、また相手団メンバーの顔写真リストを作成
・タオルミーナのSan Domenico Palace Hotelで演奏していると言われるマンド
リン楽団の演奏をぜひとも聴きたいと思い、現地在住の邦人SHさん、THさんと
メールで連絡を取り情報を入手
・JCB、VISAカードの旅行関係資料の取り寄せ、キャンペーンへの登録
カードによる空港ラウンジと帰国時手荷物宅配割引(500円で当日配達)を利用
・マイレージカードの準備
・緊急用メモの作成
・バラ掛け旅行保険「たびほ」へ加入(8日間で保険料3,570円)
・母と妻から過分な餞別をもらっている手前おみやげ調査(レモンチェッロ、アー
モンドの蜂蜜、トラパニの塩など)
・Samsoniteスーツケースのキャスターのゴムがはがれてしまっているのでその
修理
などなど。
旅程は、カターニャ→タオルミーナ→カルタジローネ→ミラベッラ→カルタジローネ→アグリジェント→パレルモ→モンレアーレ→パレルモと巡り、タオルミーナとミラベッラで演奏しました。
海外旅行は飛行機の移動で往路1日、復路2日取られてしまいますので8日間の旅行でも正味は5日、ホテルで荷ほどき、荷造りを繰り返しているうちにアッと言う間に日が過ぎていってしまいます。
飛行機はアリタリア航空、経営状態が悪く荷物被害も多発しているとの評判ですが、幸い被害には遭わずに済みました。
■ スーツケースのキャスター修理
Samsoniteスーツケースのキャスターに巻いてあった防振、防音用のゴムが摩耗して4つの輪とも取れてしまっていました。
スーツケースのキャスター修理情報はネットに非常にたくさんアップされているところを見ますと、それだけたくさんのユーザーが困っているのだろうと思います。
ネット情報ではサムソナイトカスタマーサービスセンターの対応が非常にまずいこと、修理に出すとキャスター1個につき4,000円もすること、キャスターは本体と一体になっておりユーザーが本体からはずすことができない構造になっていて素人には交換修理が難しいことなど、一流ブランドの製品にしてはユーザーにまったく配慮が欠けていると言わざるを得ません。
仕方ありませんので旅行の前に直せるものなら自力でやってみようとゴムをキャスターに巻いてゴム専用の接着剤でひっつけてみました。
修理前 修理後
はがれてしまわないかと心配でしたが案の定、往路成田空港で早や1つはがれ、帰路成田に着いた時には全部はがれてゴムはすっかりなくなっていました。
失敗です。もう一度今度は瞬間接着剤で再挑戦してみようかと思います。
頑丈な本体に比べてキャスター部が先にダメになってしまうようなおかしな製品は作らないでほしいと思います。
■ 空港のラウンジ
リムジンバスの空港到着時間の関係で空港でツァー集合時刻までかなり時間のあることがあります。
トイレを済ませ、必要なら両替を済ませたらあとは集合まで何もすることがありません。動こうにも荷物がいっぱいで不自由です。
空港の飲食店は一般にまずくて高いですから、休憩するには空港のラウンジが便利です。
ラウンジには普通ビジネスクラス利用以上の搭乗者が利用できる航空会社のラウンジとゴールドカード所有者が利用できるカード会社のラウンジがあり、前者の方がサービス内容が上質です。
最近はゴールドカードを所有する人も多くラウンジが混みあい、また以前に比べて同伴者の利用が有料になったりとサービスの低下も見受けられます。
しかしカード会社のラウンジでも新聞・雑誌の閲覧、ソフトドリンク、アルコール(1杯目)、インターネット接続などが無料ですので(ラウンジによってサービス内容が若干異なります)、コーヒーでも飲みながら本を読んで出発までの時間を過ごすには最適と思い、今回も利用しました。
ただ前泊日は利用できませんし、食べ物の持ち込みもできないことになっています。
■ アリタリア航空
今回のフライトはスカイチームメンバーのアリタリア航空です。
正式にはアリタリア-イタリア航空、イタリアのフラッグキャリアで民営化されたとは言っても事実上の国有企業で、このような親方日の丸企業はたいてい経営状態が悪く、従業員の質や乗客へのサービスが良くないのが一般的です。
また昨年5月にはアリタリア航空職員が空港で組織的な荷物盗難を行っていたというニュースが世界中を駆け巡り、ローマ・フェミチーノ空港でアリタリア航空職員49人が逮捕され、ミラノ・リナーテ、ナポリといった主要空港でも37人が逮捕されたというとんでもない航空会社です。
ローマ空港ではスーツケースの紛失、中身を抜き取られての盗難被害が数年に渡って常態化しており、ローマから欧州を動いているとこのようなことは日常茶飯事と言われます。
携行品損害保険をかけておきましたが、今回幸いにもメンバー全員被害に遭わずに済みました。
国際線の機内のクルーの働きぶりなどを見ていますと、
・往路機内のエンターテイメント機器の故障で映画が見られず、はじめから直そう
という発想がありません
・クルーは最後尾のクルーのたまり場で雑談ばかりしています
機内食に野菜が不足しているのにクルーはこのたまり場で野菜サラダやカレーを
食べていました
・手荷物を座席の下に置いているか、シートベルトをちゃんとしているか等安全確
認を一度もしません
・顔を拭く熱いおしぼりが出てきません
・復路着陸寸前に機内食を配りはじめ食べ終えないうちにあわただしくかたずけま
した
・機内食や飲み物をいつも前方から配るので後方の客に選択の余地がなくなります
私の場合ジュースが残り少なくコップに半分しか注げないのに補充しに行くでも
なく、申し訳ないと思ったのかほかに飲み物はと聞くのでコーヒーと答えました
らコーヒーは十分あるのに何とコップ半分だけしか注いでくれませんでした。
両方合わせて一杯分になるからこれでいいだろうというわけでしょうか。
良い面もあります。
・往路二度の食事の合間におむすびが出ました
・飲み物が最後尾でいつでも自由に飲めるようになっていること
機内を歩くことはエコノミー症候群の予防、気分転換にもなりますが、窓側席の
人にはちょっと利用しずらいかも。
ツァーですと航空会社を選べないことも多いですが、アリタリアはできることなら避けたい飛行機の筆頭の一つです。
往路、ローマの空港に着いて入国の際パスポートに入国スタンプを押されませんでした。
スタンプは必ず押されるものと思っていましたので今まで注意して確認していませんでしたが、ネットを見ますとこのようなことは珍しいことではないようです。
海外の土を踏んだ記録としてその国のスタンプが残らないのは寂しい気もしますが、一方で何ごとも電子化の世の中、いつまでも手押しスタンプでは時代遅れの気がしないでもありません。
パスポートもそのうち写真入りICカードのようになってカードリーダーに通せば出入国の全記録が簡単に見れるようになるのかも知れません。
出入国審査の折いちいちスタンプを押す手作業をなくすだけでも混雑緩和に役立つのではないでしょうか。
初日はローマ経由シチリア州第2の都市カターニャ県の県都カターニャのホテルに宿泊、二日目は早速カターニャ市内の観光です(イタリアは市町村の区別なくみんなコムーネですから市相当と呼ぶべきかも知れませんが)。
有名な建物や美しい風景写真、動画はネットに山ほど紹介されていますので、ここではできるだけそれ以外の写真を載せたいと思います。
大聖堂前の象の広場でギターの演奏をしていました。
自分が楽器を弾きますのでやはりこういった光景に目がとまります。
カターニャにはシチリア最大の魚市場があり、たくさんの魚介類、野菜を売っていました。
下の写真は信号で止まったわずかな間に車の窓拭きをする少年です。
見ていますと洗剤入りペットボトルとガラス拭きを持って、ていねいにやる人といい加減にやっている人がいて面白いです。
午後はメッシーナ県タオルミーナ市に移動、この旅行で唯一貴重な自由時間に市内を散策しました。
タオルミーナは9年前にも一度訪れていますが、今回の演奏旅行のメインの地であり事前にかなり詳しく下調べをしておきました。
一番の繁華街ウンベルト通り、メッシーナ門入ってすぐの右手の店から軽快なマンドリンの調べでシチリア民謡が聞こえてきます。
その店はFelici8という楽器店で、早速マンドリンのCDを見つけて買いました。
Felici8楽器店
CDはTriskeleというAgency代表のCarmelo Pellitteri氏が率いるQuartetto Mimesiというマンドリン、ヴァイオリン、ギター、ベースから成るアンサンブルで、氏はマンドリンを弾いてイタリア民謡を演奏しています。
氏の演奏はネットにもたくさんアップされています。
この店にGiuseppe Parisi氏率いるComplesso a Plettro di Taorminaの演奏する貴重なマンドリンCDも置いてありましたが、私はすでに持っていましたのでメンバーの人に勧めました。
Parisi氏はChico Scimone氏亡き後San Domenico Palace Hotelでのマンドリン演奏を率いていたとも言われますが、現在彼はホテルでは演奏していないようです。
時間に余裕のあるこの日、一番行って聴きたかったのはSan Domenico Palace Hotelのレストランで演奏しているというマンドリン演奏だったのですが、あいにくこの日は演奏していないようでとても残念でした。
もし行くことになったらなったで格式あるホテルのことですからディナーは高いでしょうし、それなりのドレスコードもあるでしょうし、宿泊ホテルの方で予定されている夕食はキャンセルをしなければならないしと、何かと面倒ではあったのですが。
その後も道の両側に土産物屋がぎっしりと店を連ねたウンベルト通りをカターニア門までブラブラ散策しました。
デコレーションに工夫を凝らしたお店があちこちにあります。
カターニア門近くのドゥオモ広場にある明日演奏する教会を下見したり、展望の良い4月9日広場ではGianni D’amico (マンドリン)とGiuseppe Torrisi(ギター)の二人が演奏をしていました。
この二人のことはずっと以前より注目していましたし、ネットに演奏動画もたくさんアップされていますので、やっと会えましたねという感じです。
デジカメで演奏を録画したのですがとっさのことで録音できていませんでした。
なにごとも慣れないことをあわててやるとうまくゆきません。
写真のギターケースにあるCDを購入しました。
Sounatori Mediterraneiというユニットを組んでシチリア民謡、ナポリ民謡、イタリア民謡に分けてそれぞれ7曲ずつ収録してありました。
三日目は午前タオルミーナの見学、午後いよいよジョイントコンサートです。
宿泊ホテルは海岸沿いにあってウンベルト通り近くまではフニビエ(ケーブルカー)で上って行くことになります。
見学は何はさておき一番の見どころ、ギリシャ劇場です。
頂上に雪をいただくエトナ山を望む雄大な景色はほんとに素晴らしいです。
もし次に機会があれば今度はエトナ山のまわりをローカル電車でのんびり周遊してみたいものです。
教会での演奏も素晴らしいですが本当はここで演奏できたら最高、でもちょうどこの日からここで年一回の盛大なTaormina Arte(タオルミーナ芸術祭)が催されるようで、21時半開演の初日の準備のため大掛かりな舞台の設営中で、写真のブルーシートに見えるたくさんの機材が運び込まれていました。
何ごともあわてないイタリア人ですが、まだこんな状態で果たして準備が間に合うのかとちょっと心配ではありました。
ギリシャ劇場見学のあとまた少し自由時間がありましたのでSan Domenico Palace Hotelを見学に行ってきました。ウンベルト通りのドゥオモ広場から歩いて近くです。
ホテル全景(ネットより)
ホテル玄関
左手奥はChico Scimoneさんが弾いておられたピアノ
テラスからの眺め
中庭につづく小径
中庭から望むエトナ山
14世紀のドミニコ会修道院だった建物を改装、仏伊合作の名作映画「グラン・ブルー」のロケ地にもなった5つ星の名門、一生に一度は泊まりたい素晴らしいホテルですが、今ではタオルミーナに5つ星ホテルがすでに10軒ほど存在し、このホテルの価値も昔ほどではなくなったとも言われます。
なお日々情報が更新され、内容が交錯するなか一番新しい情報ではこのホテルではもうマンドリン演奏はやっていないようで、そうであれば一時代が終わったとの感慨を深くします。
在りし日のこのメンバーの演奏は世界中のマンドリニストにとってCDやレコードのみに残る非常に貴重な記録となってしまったようです。
いろんな店を覗き見しながらウンベルト通りを歩いていますと面白い光景に出くわします。
裁縫をしながら店番しているのでしょうか、よそ見してミシンを踏んでいる様子の縫い子さん、犬のシッポも一緒に縫い込んでしまいそうな・・・
今夕コンサートを開く教会の入り口に貼ってある演奏会のちらしと、教会前のドゥオーモ広場でのメンバーの集合写真です。
この教会、大聖堂ドゥオーモの創建は古くは12世紀あるいは13、14、15世紀と諸説あり、いや15~16世紀に改修されたという説もあって定かではありませんが、中世に建てられたタオルミーナの建築物の中では最も大きく、タオルミーナ市民にとって最も愛すべき重要な教会であることは間違いなさそうです。
教会の内部の天井が木組みで出来ているせいか、高音域の音が吸い取られ教会にしてはあまり響かないように感じます。
現地団と合同演奏
当日のプログラムは
01 日本の幻想(会津磐梯山と八木節)
02 四季のうた(日本のうたメドレー)
03 幻想曲 桜
04 童謡集/童謡集その2
05 ボンジョルノ・姫さま/ライフ・イズ・ビューティフル
06 Cavalleria Rusticana
07 ナポリ風狂詩曲(メドレー)
08 Motivi Siciliani(Medley)
09 E vui durmiti ancora
10 浜辺の唄(成田為三の旋律による)
11 チマッティのアヴェ・マリア
12 荒城の月幻想曲
03は恩地先生のソロ、05~07は相手団の演奏、08以降は合同演奏でした。
相手団メンバーには高校生もいて歴史ある楽団でありながらとてもきさくな雰囲気でした。
相手団はさすが優れた演奏で、テンポの取り方や弱い音の表現などに学ぶべき点が多々ありました。
旅行前よりメールでいろいろ情報を伝えてくださった現地在住の日本人SHさんが仕事でお忙しいなか聴きにきてくださり感激しました。
演奏会終了後の交歓会ではお互い片言の英語どうしでもいろんな情報を交換したかったのですが、相手メンバーに英語をしゃべる人がほとんどいなかったのが残念でした。
旅行4日目、今日はメッシーナ県タオルミーナからカターニャ県カルタジローネへ移動です。カルタジローネはシチリア随一の陶器の街、マヨルカ陶器で有名です。
また142段ある大階段の花祭りでも知られています。
よく見ますと階段の蹴上げの部分すべてにマヨルカ陶器のタイルが埋め込まれています。
実際の階段のタイル(左)と同じ図柄のタイル(右)を階段の両脇に並ぶ陶器の店で見つけておみやげにしました。
このカルタジローネでメンバーが迷子になり大騒ぎになりました。
花階段のところで自由観光となり10分ほど離れたバスの駐車場の所まで各自で歩いて戻ってくることになったのですが、時間になっても戻ってきません。
駐車場から花階段への往路で、帰りは自力で戻ってくるので各自道をよく覚えながら歩くようにとあらかじめ添乗員が注意してくれていたら良かったのですが、みんなそんなことになるとはつゆ知らずのん気に写真を撮ったり話しに夢中になって歩いていましたから、行きと景色の見え方が違う帰りはまごついてしまいます。
方向オンチの私も危うく迷子になるところでした。
あわてて行きに撮ったデジカメ写真で道の左右の景色を確かめたりしました。
午後は近郊のミラベッラに移動して市内の中学校で吹奏楽部の中学生や市民音楽グループの方々と共演です。
当初教会で予定されていた演奏会でしたが、この日教会の叙任式と重なり急きょ演奏会場が変更になりました。
共演風景
イタリアの児童はほんとびっくりするほど甘やかされて育っているなあというのが率直な感想です。
ミラベッラは正式にはミラベッラ・インバッカリ、カルタジローネに隣接する同じカターニア県のコムーネで、普通のツァーではまず行くことはありませんから日本人にとって馴染みはうすいですが、この町はTOMBOLO(トンボロ)というイタリア刺繍工芸としてのレース編みが有名で、演奏会終了後の打ち上げは会場近くの刺繍工芸館で行われました。
素晴らしいレース編み作品がたくさん展示されていました。甘党の私はレースよりこちら、打ち上げで出された甘いお菓子です。
ここで地元開催者側より市旗と、メンバー全員に飾り皿をいただきました。
飾り皿にはシチリアの地図と当日の日付が焼き付けられ、トンボロの町ミラベッラ・インバッカリ市と記されていました。
5日目の朝、少し時間がありましたので清々しい空気の中ホテル周辺を散策、ホテルから塔の見えた近くの教会を覗いてきました。
出勤で忙しい時間帯にもかかわらず、朝8時からの礼拝に参列している人がたくさんいてびっくりしました。
ホテルで朝食後バスに乗り込みカルタジローネからアグリジェント県の県都アグリジェントに移動、昼食後ギリシャ遺跡を見学しました。
旅行記に一度も食べ物の話しが出てこないと、いったい三度三度何を食べていたのだろうということになりますので、特記するようなことは何もありませんが一度くらいは記録として載せておきたいと思います。
朝はホテルのバイキング形式の食事、あれもこれもと食べ過ぎないように注意します。オレンジを自分でしぼって飲んだジュースがおいしかったです。
昼と夜はパスタに続いてメインの魚か肉、最後に甘い甘いデザートというのがお決まりのコース、量は日本人には多過ぎるくらいですから最初のパスタで調節しておかないと次のメインが食べ切れなくなります。
デザートは別腹ですから大丈夫です。
その土地の郷土料理を味わうのも旅の楽しみの一つですが、毎日毎日同じようなパスタ料理を食べ続けているとやはり旅の最後の頃にはどうしてもお茶漬けやラーメンが食べたくなったりします。
周到に準備してこられた方もいました。
ペットボトルの水は1本1~2ユーロですがスーパーでは6本1.5ユーロという店もありました。毎日1、2本は飲みますからまとめて買って分けると断然お得です。
日本人はガス入りでないのを好みますが、暑い日にはたまにはガス入りもすっきりと味わえます。
ギリシャ遺跡は何も日光を遮るものがない中、かなりの距離を歩いて見て回りましたので疲れました。
巨大サボテン、落書きのキズがイタイタそう
ギリシャ遺跡のおみやげ屋で買ったローソク立て
ギリシャ遺跡を後にアグリジェントからシチリア最大の都市、シチリア州の州都パレルモに向かいました。
この旅最後の観光日となった6日目は午前中パレルモ、午後はパレルモ近郊のモンレアーレの見学です。
なんの変哲もないこんな通りを歩いていると、建物や山の感じからシチリアにいるんだという実感がわきます。
前述の迷子騒動以来みんな曲がり角で目印になりそうなものに気を配るようになりました。何だか電柱があると“印”を残す犬みたいです。ど派手な格好のこの馬だかロバはうってつけの目印です。
「動いてしもたらどないしょ」、「張りぼてやから動くわけあらへん」、「いやわからんで」、「そんなん困るわ」などと関西弁で賑やかなことでした。
7、8日目はパレルモからローマ経由、全員無事帰国することができました。
義母と妻へのおみやげはトラパニの塩だけでいいのかとさんざん冷やかされていましたが、最後の最後ファッションブランドDesigualのローマ・フェミチーノ空港店でお財布とスカーフをメンバーの人にも見てもらって購入でき、やれやれでした。
想い出の詰まった演奏CD記念盤を制作
今回の旅行、全行程お天気に恵まれ、演奏だけでなくいろんな人と知り合い、情報交換もできました。特に私の大学のマンドリンクラブ後輩2人も一緒、想い出に残るとても楽しい旅となりました。
昨年と今年、二度も里帰りした我が愛器、カラーチェも喜んだことでしょう。
演奏旅行に誘ってくださった先生はじめお世話になった皆さんに心より感謝です。
有難うございました。
4 海外で演奏するということ
昨年と今年、イタリアでマンドリン合奏をするという貴重な体験をしました。
昨年のシエナとフィレンツェは単独で、今年のタオルミーナは相手団との共演でした。
アマチュアの私たちが海外演奏旅行に何を期待するかは人それぞれ違うと思いますが、私なりに思うところを少し書いてみたいと思います。
海外に観光に行くこと自体すでに十分楽しいことですが、それに加えて自分の趣味でやっている楽器で海外で仲間と演奏できるとなれば二重に楽しいですから、観光付き演奏旅行ともなるともうそれだけで夢のようなことに思ってしまいます。
単なる観光旅行ですと一人でも行けますが合奏を伴うとなると一人では実現できません。
当然のこと合奏する仲間が必要ですし、演奏旅行を企画する人にとっては相手団を見つけ演奏会場を探し、こまごまとした交渉や山のような雑事、たとえば無料演奏会をするにしてもポスターやちらしの翻訳、印刷といったこともあるでしょう。
旅行という面からみますと演奏・観光旅行は一般のパックツァーと違って旅行業法に規定する受注型企画旅行に相当します(2005年4月の旅行業法改正前までは企画手配旅行と呼ばれていました)。
オーダーメイドの旅行になりますから旅行会社主催の募集型企画旅行に比べて旅行代金は通常かなり割高になります。
それに楽器や楽譜、必要に応じて舞台衣装、譜面台、足台など普通の観光旅行には必要のない物を持参しなければならないので荷物がかさばり重く、また高価な楽器の運搬について機内に持ち込めるか、楽器保険はといった心配もしなくてはなりません。
このようにいくら楽しいといっても、高い費用を払って手間ヒマかけ苦労して行くのですから、単に相手国に押しかけて行って漫然と弾いてきましたというのではいかにももったいないことです。
行って下手な演奏をさらけ出すのでは恥さらしになるだけですから、出来うる範囲できちんと演奏できるように十分な練習を積んで行くのは最低限の礼儀ですし、相手国の歴史や習慣、相手団や演奏会場のことも可能な限り事前に調べて頭に入れておくことが必要でしょう。
演奏を通じて海外の違った価値観、常識、習慣を持つ人たちと接することで
・新しい視点で自分たちの活動を見直す絶好の機会になり視野が広がる
・同時代のマンドリンの世界の潮流にリアルタイムで出会える
・国際的な場で自分たちの活動がどう評価され位置づけられるかを体感できる
・国内では望めない多種多様な人に演奏を聞いてもらえ、意見交換や批評がもらえ
る
・日本・日本人だけに縛られない表現の可能性が広がって行く
など、国内演奏では経験できないかけがえのない効果が期待できるのが海外演奏の醍醐味と思います。
海外演奏旅行に参加するに当たって特に思いますことは、
一つは、上手な演奏に越したことはないですが、それよりも相手を感動させる演奏に心がけたいことです。
これは何も海外演奏に限ったことではありません。
演奏会と発表会は違います。
演奏会の主役は聴衆、一方発表会の主役は演奏者です。
発表会では自分が弾きたい曲を弾いて聞きに来てくれた身内や知人に披露し褒めてもらえばそれで済みますが、演奏会は自分とは全く関係のない来場者に芸術的感動を与えることが目的です。
ところが実際にはこの両者を混同している演奏会がいかに多いことでしょう。
海外では身内や知り合いが聞きに来ることはまずありません。
お世辞でない本当の評価、反応が得られる絶好の機会です。
突き詰めれば海外演奏に際して演奏会というものをどう考えているか改めて自身に問い直す、見つめ直すまたとない機会と言えるのではないでしょうか。
もう一つは、折角の貴重な相手団との交流を線香花火のように単発で終わらせない工夫ができればということです。
相手のあることですからこちらの思惑通りにことが運ぶとは限りませんが、成り行き任せにすることなく計画性を持って長期的な展望のもと新しい展開に発展させて行けたらどんなに素晴らしいでしょう。
どんな交流を続けてゆくか、いろんな形態が考えられると思います。
それには相手を十分知ること、相手を尊敬すること、一つ一つの小さい交流を大事にしてそれらを積み重ねてゆくことではないでしょうか。
お互いの強固な信頼関係は一朝一夕には築けません。
ここで共演を終えたあとの交歓会の持ち方が大変重要で、交歓会はあとにつなげられるかどうかを決める非常に大事な場であると思います。
二度と交流しないのなら別ですが交歓会はまさに一期一会の機会、単に「はいご苦労さま、楽しかったね」で相手とお互い仲良く食べて飲んで雑談してバチバチ写真撮り合うだけで終わらせてしまってはあまりにももったいないことです。
私は相手団のことをよく知ろうと、旅行前に相手団の歴史を和訳しました。
旅行が終わって帰国してから相手団より、この訳文を相手団のホームページに載せたいと言ってきました。
またイタリアの古いマンドリニストについての貴重な資料を送ってきてくれましたのでいずれ和訳してこのブログで紹介したいと思っています。
そのうち楽譜も送ってきてくれるとのことで楽しみです。
こんなこともささやかな交流の一つかと思います。
大きく構えれば「海外で演奏することの意義」なんていうことになるかも知れませんが、そう大上段に堅苦しく考えなくても少なくとも一人一人目的意識を持って参加し、海外交流の輪を広げ深めてゆくきっかけにできればより一層有意義な海外演奏旅行となるのではないでしょうか。